外はじわりと暑く、不愉快な汗が全身から流れ出す。耐え切れない熱気とは裏腹に太陽は顔を隠しているが、情熱だけは地上まで届けているらしい。仕事をサボっている雲を睨みつけ、僕は駅の方へ歩きだす。今日は友達と久しぶりに岩盤浴に行く予定だ。僕らは毎…
お気に入りの曲が微かに聞こえるボリュームで流れている。さっきまで見ていたものが夢なのだと知り、目をこすって現実をはっきり受け止める。恋人が隣でまだぐーすか寝ている。ぐーすか。世間は国民の祝日らしく、二人とも一応国民であるので、こうしてベッ…
その日はとても遠くの駅で待ち合わせた。 路線の終点なので、この駅行きの電車をよく乗っていた。世界の果てだと思っていた駅にまさか自分が来てしまうとは夢にも思わなかった。電車を降りた後は街の喧騒に驚き(世界の果てにも人は住んでいるらしい)、人の多…